仕上げの数量拾い|床・壁・天井の拾い方と控除ルール【建築】
公開日:最終更新日:
編集・発行:KMC株式会社
仕上げの数量拾いは、躯体(または軽鉄間仕切などの準躯体)表面の設計寸法による面積から、建具などの開口部の内法面積を差し引いて求めるのが基本です。国土交通省の「公共建築数量積算基準」では、開口部が1か所当たり0.5m2以下なら原則として差し引かず、壁の高さは設計図書の天井高さで測ると定めています。
以下の数値は公共建築数量積算基準(令和5年改定)の第5編 仕上によります。民間工事で別の計測方法が指定されている場合は、見積条件・特記仕様書に従ってください。
【早見表】仕上げの拾いで差し引くもの・差し引かないもの
| 対象 | ルール(公共建築数量積算基準) | 該当箇所 |
|---|---|---|
| 建具などの開口部 | 内法寸法の面積を差し引く。1か所当たり0.5m2以下は原則として差し引かない | 第5編 第2章 第2節 2(1)1) |
| 壁の高さ | 設計図書の天井高さで測る | 同 2(1)2) |
| 仕上代(仕上表面から躯体表面まで) | 0.05mを超えるときは、原則として仕上の表面の寸法で測る | 同 2(1)3) |
| 梁・柱の小口などの取合い | 1か所当たり0.5m2以下は差し引かない | 同 2(2)1) |
| 衛生器具・電気器具・換気孔・配管等 | 1か所当たり0.5m2以下は差し引かない | 同 2(2)2) |
| 幅木・回縁・ボーダー等による欠除 | 高さまたは幅0.05m以下のものは差し引かない | 同 2(2)3) |
| 幅木等の開口部による欠除 | 1か所当たり0.5m以下は差し引かない | 同 2(4) |
| 石材の開口部・取合い | 1か所当たり0.1m2以下は差し引かない | 同 3(4) |
| 間仕切下地の開口部 | 1か所当たり0.5m2以下は差し引かない | 第5編 第1章 第2節 1 2) |
| 壁紙・布張り、シート防水の重ね代 | 計測しない | 第5編 第2章 第2節 3(13)2)、3(3)4) |
仕上げの拾いは「種類の多さ」との戦い
躯体の拾いが少数の材料を大量に拾う作業だとすれば(躯体編参照)、仕上げの拾いは正反対です。材料と工種の種類が桁違いに多く、部屋ごとに仕様が違います。
武器は拾う順序の型です。おすすめは「内訳書の並びで拾う」こと。完成形の順に拾えば、拾い忘れは内訳書の空欄として見えます。
基準も、内部仕上は各階・各室ごとに床・内壁・内部開口部・内部天井・内部雑に区分し(第5編 第2章 第1節 2)、塗装などの表面処理と下地は原則として主仕上の設計寸法で数えるとしています(同 第2節 1(5))。
準備: 仕上表が拾いの地図になる
仕上げ拾いの中心図面は、意匠図の仕上表(室名ごとに床・幅木・壁・天井の仕様を一覧にした表)です。拾いを始める前に、次の準備をします。
- 仕上表の仕様を「拾い項目リスト」に変換する: 登場する材料を全部書き出すと、内訳書の骨格ができます
- 平面詳細図・展開図・天井伏図を揃える: 面積は平面図、壁の高さと開口は展開図、天井の段差や点検口は天井伏図から読みます
- 室面積表を作る: 各室の床面積・周長・天井高さを一覧にすると、以降の拾いがこの表の掛け算になります
この室面積表が心臓部です。材料ごとに図面を測り直すやり方は、時間も誤差も倍になります。
床・幅木: 面積と周長のセットで
床は室面積そのままが基本ですが、注意点があります。
- 仕様の切り替わりライン(廊下と居室で床材が変わる位置)を平面図で確認する
- 下地(モルタル・レベラー・二重床)を床材と別項目で拾う
- ビニル床シートやカーペットは設計寸法による面積、畳は枚数で数えます(第5編 第2章 第2節 3(13)4))
- 段違いの側面や蹴上げは床に含め、立上りが0.3mを超えれば壁として扱います(第5編 第2章 第1節 2(3)1))
- 幅木は室の周長から、0.5mを超える建具の開口幅を引いた長さです
壁: 「面積から開口を引く」を機械的に
壁の仕上げ(クロス・塗装・タイル)は、周長×天井高さで壁面積を出し、建具・窓の開口面積を引くのが基本です。ポイントは控除のルール化です。
- 控除の下限ルールを決めて全室で統一する。基準では開口部・器具類とも1か所0.5m2以下は差し引きません
- 下地(軽鉄・ボード)と仕上げ(クロス)は別項目で拾う。ボードは壁の両面に張られる場所(間仕切り)と片面の場所(外周壁の内側)があるため、「面の数」を意識する
- 腰壁・アクセントウォールなど、高さ方向の仕様切り替えは展開図で確認する
- タイルや石張りなど仕上代が0.05mを超える仕上は、躯体面ではなく仕上の表面の寸法で測ります
軽鉄・ボードは間仕切り種別(遮音・耐火・一般)ごとに分けると、単価の違いが反映され発注にも使えます。基準では間仕切下地は仕上と切り離して計測し、軽量鉄骨とボードの耐火間仕切は下地と両面のボードを一括して片面の面積で数えます(第5編 第1章 第2節 2(5))。
【計算例】1室の壁仕上げと幅木の数量
寸法は説明用の仮の数字です。
- 条件: 室の周長24.00m、天井高さ2.70m、片開きドア(内法幅0.90m×高さ2.10m)1か所、窓(内法1.80m×1.20m)1か所、壁の点検口(0.45m×0.45m)1か所、スイッチ・コンセント類あり
- 壁面積: 24.00m×2.70m=64.80m2(壁の高さは天井高さ)
- ドア: 0.90×2.10=1.89m2。0.5m2を超えるので差し引く
- 窓: 1.80×1.20=2.16m2。0.5m2を超えるので差し引く
- 点検口: 0.45×0.45=0.2025m2。0.5m2以下なので差し引かない
- スイッチ・コンセント類: 器具類で1か所0.5m2以下なので差し引かない
- 壁仕上げの数量: 64.80-1.89-2.16=60.75m2
- 幅木: 24.00m-0.90m(ドアの開口幅。0.5mを超えるので差し引く)=23.10m
端数は四捨五入で小数点以下第2位、内訳書では第1位(100以上は整数)です(第1編 総則 2(6)(7))。
天井: 伏図でしか分からないものがある
- 天井の段差・折り上げ・下がり天井(意匠のための形状)は天井伏図と断面で確認する。下がり天井の側面や回縁は天井に含めます
- 点検口・照明・設備器具の開口は数と大きさで拾い、下地の開口補強は箇所数または長さで数える
- 金属の天井下地は「ふところ」寸法と仕様で区分して主仕上の数量で数え、天井インサートも主仕上の数量とします(第5編 第2章 第2節 3(7)5)6))
- 曲面・斜め天井は加工手間が変わるため行を分ける
建具・雑工事: 「数えるもの」は表で数える
- 建具: 建具表から符号とサイズ別の箇所数を数える(基準も同じ)。建具表と平面図の数が合わないことは珍しくないため、必ず突き合わせる
- ガラス: 全面ガラスの建具は内法寸法の面積が基本で、見付幅0.1mを超えるかまち・方立・桟があればその面積を差し引きます(第5編 第2章 第2節 3(11)1))
- 雑工事: 手すり、サイン、鏡、トイレブース、可動間仕切り。図面の隅にいる項目ほど拾い漏れます。手すりは長さまたは箇所数、造付家具は組数または箇所数で数えます
- 家具・什器との境界: 造作家具がどこまで建築工事かを見積条件に明文化する。この境界の曖昧さが後の紛争になります
仕上げ特有の拾い漏れリスト
- 下地関係: 床下地、壁ボードの耐水・耐火仕様の区別、天井インサート・野縁
- 取り合い部材: 見切り材、コーナーガード、伸縮目地、異種床材の見切り金物(役物類は長さまたは箇所数)
- 外部との境界: 玄関マット枠、サッシまわりの額縁・膳板
- 塗装の「面積にならない」もの: 建具枠・手すり・設備配管など。基準では役物類の塗装は糸幅(表面に沿って測った幅)による面積または延べ長さ、建具類の塗装は統計値や係数値によることができます
- 開口部まわりのシーリング: 設計図書の長さと、内法寸法に基づく周長で数えます
- 養生・清掃: 仕上げ工事に付随する養生費とクリーニングを、経費でなく数量で見込むか方針を決める
概算段階は原単位で走り、詳細拾いと使い分ける
引き合いの初期は、過去物件の原単位(延床面積あたりの内装工事費、室用途別の仕上げ単価)で概算を出し、受注が見えてから詳細拾いに切り替える二段構えが実務的です。条件は過去物件の詳細拾いと最終原価が残っていること。今日の丁寧な拾いは、明日の速い概算の材料になります。
拾い書は発注まで一気通貫で使う
工種ごとの拾いは、そのまま協力会社への見積依頼書と注文書の数量になります。内装をボード・クロス・床で別会社に発注するなら、拾いも最初からその区分で集計しておく。拾い直しなしで見積依頼に進め、数量照合(見積査定)も同じ表の上でできます。拾い書は「発注までの共通台帳」として設計します。
改修工事の仕上げ拾い: 解体と復旧はセット
改修には、既存の解体・撤去と残す部分との取り合いという軸が加わります。基準の第7編 改修も、仕上改修を既存仕上の撤去、下地処理、新設仕上、補修に区分しています。撤去範囲と処分費、既存下地の補修、営業中なら養生と作業時間帯の制約は図面だけでは確定できず、現地調査の実測と写真が精度を決めます。実行予算では予備費を新築より厚く見るのが定石です。
単位と端数のルールを最初に決めておく
床材は平方メートルか梱包単位か、見切り材はメートルか本か、端数は項目ごとか合計で丸めるか。ルールが人で違うと検算のしようがなくなるため、拾い書の冒頭に明記して統一します。基準に合わせるなら単位はm・m2・m3・t、端数は四捨五入で小数点以下第2位です。
ロス率を数量と単価のどちらに含めるかも見積条件に書いておきます。基準の設計数量は、ロスを単価の中で考慮する考え方です(第1編 総則 2(2))。梱包単位の発注数量は「所要数量」として区別すると混乱しません。
よくある質問
Q. 壁の仕上げ面積で、開口部はどの大きさから差し引きますか。 A. 公共建築数量積算基準では、内法面積が1か所当たり0.5m2を超える開口部を差し引きます。0.5m2以下の開口部や器具類による欠除は原則として差し引きません(石材は0.1m2以下)。
Q. クロスの重ね代やボードの目地は数量に入れますか。 A. 布張り・紙張りの重ね代は計測しません。ボード類の目地も主仕上の構成部材として原則計測せず、必要なときに長さまたは箇所数で数えます。
まとめ
仕上げ拾いの型は、仕上表から項目リストを作る、室面積表を最初に固める、内訳書の並びで拾って空欄で漏れを検知する、の3段構えです。控除と単位のルールは基準を土台に社内で統一します。基準全体の読み方は建築数量積算基準とはを、拾った数量を予算に組み上げる手順は実行予算書の作り方を、拾い作業自体の時短は図面からの数量拾い出しにAIは使えるかをご覧ください。
出典・参考
- 国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築数量積算基準(令和5年改定)」第1編 総則、第5編 仕上(第1章 間仕切下地、第2章 仕上)、第7編 改修: https://www.mlit.go.jp/gobuild/kijun_touitukijyun_s_a_suuryou_sekisan_kijyun.htm
- 建築コスト管理システム研究所・日本建築積算協会編「令和5年版 建築数量積算基準・同解説」大成出版社(民間の有料書籍)
※ 2026年10月1日:冒頭で仕上げの数量拾いの基本を言い切る構成に見直し、控除・単位・端数の説明を公共建築数量積算基準に合わせて補い、控除ルールの早見表・壁面積の計算例・よくある質問・出典を追加しました。
いまの課題に近いものはどれですか?
選んだお悩みに最適なサービスのご案内ページへ移動します。
2営業日以内に担当者からご連絡します。無理な営業はいたしません。





