建設業務改善Navi
経営・DX約13分で読めます

MDMとは|建設現場の社用スマホ・タブレット管理と紛失対策

編集・発行:

MDMとは|建設現場の社用スマホ・タブレット管理と紛失対策

MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)とは、会社が貸与したスマートフォンやタブレットのセキュリティ設定をまとめて管理し、紛失や盗難のときには遠隔で端末をロックしたりデータを消去したりできる仕組みです。 総務省の「テレワークセキュリティガイドライン 第5版」は、スマートフォン等のセキュリティ設定を統合的に管理するためのツールと説明し、端末の紛失・盗難に備えてMDMなどを導入し、遠隔でのデータ・アカウントの初期化、ログイン時のパスワード認証の強制、暗号化といった機能を有効にすることを基本対策に挙げています。

建設現場では、図面の閲覧、工事写真の撮影、検査の記録、協力会社との連絡に、スマートフォンやタブレットが欠かせなくなりました。端末を持ったまま足場に上がり、車で現場を回り、作業所に置いて帰る。持ち歩く場面が多い仕事ほど、紛失を前提にした管理が必要です。

建設現場の端末に入っている情報

端末の使い方端末に残りやすい情報
図面・施工図の閲覧設計図書、施工図、発注者の建物の配置やセキュリティ設備の情報
工事写真の撮影現場の写真、工事名や発注者名が書かれた黒板の写真
検査・是正の記録是正の指示、検査の結果、協力会社名
連絡協力会社・発注者の担当者の連絡先、メール、チャットの履歴
安全書類の確認作業員の氏名や生年月日などが載った名簿

総務省のガイドラインは、スマートフォンは持ち歩く頻度が高く、紛失や盗難の可能性が高くなることから、MDMなどを導入してデータの暗号化や遠隔でのデータ消去などを行うことが重要だとしています。IPA(情報処理推進機構)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版」は、建設業(石川県、従業員規模101〜300名)の会社で、顧客情報の入ったパソコンを持ち出した際に紛失し、顧客の信用を失った事例を紹介しています。原因は、持ち出しに関する明確なルールや手続きがなく、従業員がパソコンを自由に持ち出せる環境だったことでした。その後、この会社は情報機器の暗号化を進め、持ち出しのルールを含めた規程を整えて教育を行ったとされています。

【早見表】MDMで管理する主な設定

設定何を防ぐか根拠・参考
画面ロックとパスワードの強制拾った人がそのまま操作するテレワークセキュリティガイドライン(管理者E-9)
端末の暗号化記録媒体からデータを抜き出される同(管理者E-7、E-9)
遠隔でのロック・データとアカウントの初期化紛失した端末から情報が漏れる同(管理者E-9)
位置情報の検知置き忘れた場所が分からない同(管理者E-10)
OSの更新状況の確認古いままの端末が狙われるIPA 情報セキュリティ6か条
アプリの配布・制限業務に関係のないアプリからの情報の持ち出し会社のルールに合わせて設定

製品によって機能の範囲は異なります。導入するときは、上の表のうち自社が必要な項目を先に決め、その項目に対応しているかで比べてください。

個人のスマートフォンで工事写真を撮っていないか

建設現場でよく見かけるのが、職員が自分のスマートフォンで工事写真を撮り、そのまま共有している状態です。写真は私物の端末とその人の個人用クラウドに残り、退職しても会社は消せません。IPAの「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」にも、個人所有の情報機器を業務で使う場合のセキュリティ対策を明確にしているか、という項目があります。

選択肢は2つです。業務で撮る写真は社用端末に限ると決めるか、個人所有の端末を使うなら、業務用の領域を分けて管理できる仕組みと、退職時に業務データを消す手順を決めるかです。どちらにしても、黙認のまま続けるのがいちばん危険です。工事写真の整理の仕方は建築工事の工事写真の撮り方で解説しています。

PattoAI

実行予算の作成や数量の拾い出しに、毎回時間を取られていませんか?

図面からの数量拾い出し・実行予算書・施工計画書の作成にかかる時間を、PattoAI で大幅に短縮できます。

USBメモリなど外部記録媒体の扱い

作業所と本社の間で、図面や写真をUSBメモリで運んでいる会社もあります。総務省のガイドラインは、外部記録媒体は通信機能を持たないため、紛失や盗難のときに所在の確認や遠隔からのデータ消去ができず、データ管理上のリスクが高いと説明しています。リムーバブルメディア(USBメモリ、CD、DVDなど)の使用は業務上の必要性が認められたものに限定してルールで定めること、使う場合は暗号化することを基本対策に挙げています。

作業所と本社のやり取りは、会社が管理するクラウドストレージなどに切り替え、USBメモリは「使う場合は会社が配布した暗号化つきのものだけ」とするのが現実的です。

紛失したときの手順

順番現場(なくした人)本社(端末の管理者)
1最後に使った場所を思い出し、すぐに探す。見つからなければ時間をおかずに本社へ電話する端末を特定し、MDMで位置を確認する
2端末に入っていた情報(図面、写真、名簿、メール)を伝える遠隔ロックをかける。見つかる見込みがなければデータの初期化を判断する
3警察に遺失届を出すメールやクラウドのパスワードを変え、端末の認証の登録を解除する
4協力会社や発注者への連絡は本社の指示を待つ個人データが含まれていた場合は、個人情報保護委員会への報告の要否を確認する

なくした人が報告をためらう職場では、遠隔ロックが間に合いません。「なくしたら叱られる」ではなく「すぐに言えば守れる」と繰り返し伝えることが、仕組みと同じくらい大切です。個人データの漏えいの報告については情報漏洩の原因と対策で整理しています。

【チェックリスト】導入の前に決めること

  1. 対象の端末(社用スマートフォン、タブレット、作業所のノートPC)と台数
  2. 協力会社の職長に端末を貸与しているか。している場合は対象に含めるか
  3. 画面ロックの方式と、手袋をしたまま使う場面での運用
  4. 紛失時に遠隔で初期化する判断を誰がするか
  5. 個人所有の端末を業務に使うことを認めるか
  6. USBメモリを使ってよい場面と、使える媒体の種類
  7. 退職・異動・竣工で端末を回収するときの手順

よくある質問

Q. MDMを入れれば、端末をなくしても情報は漏れませんか。 A. 遠隔ロックや初期化は、端末がネットワークにつながったときに働くのが一般的です。電源を切られたままでは間に合わないこともあるため、暗号化と画面ロックを合わせて設定しておくことが大切です。

Q. 数台しかなくても必要ですか。 A. 台数より、端末に何が入っているかで考えます。図面や名簿を持ち歩く端末が1台でもあれば、少なくとも画面ロック、暗号化、遠隔ロックの3つは使える状態にしておくべきです。

Q. 社用スマートフォンのパスワードはどう決めればよいですか。 A. 推測されにくいものにし、ほかのサービスと同じものを使わないことが基本です。詳しくはパスワード管理のルールを参照してください。

まとめ

MDMは、持ち歩く端末を会社がまとめて管理し、なくしたときに情報を守るための仕組みです。建設現場の端末には、図面、写真、名簿が入っています。画面ロック、暗号化、遠隔ロックの3つを全端末にそろえ、個人のスマートフォンとUSBメモリの扱いを決め、なくしたらすぐ言える職場にしてください。

出典・参考

※ 2026年10月14日時点で各資料を確認しています。

お悩み別 おすすめサービス

いまの課題に近いものはどれですか?

選んだお悩みに最適なサービスのご案内ページへ移動します。

無料デモで確認する(オンライン30分)

2営業日以内に担当者からご連絡します。無理な営業はいたしません。

あわせて読みたい関連記事