型枠工事の施工管理と存置期間|建築躯体の支保工・解体判断の要点
公開日:最終更新日:
編集・発行:KMC株式会社
型枠工事の施工管理は、建込み中の精度確認、支保工が組立図どおりかの確認、打設前の点検、打設中の監視、存置期間による解体判断の5点で決まります。 型枠と支柱は、コンクリートが自重と施工中の荷重で著しい変形やひび割れを受けない強度になるまで外してはならず(建築基準法施行令第76条)、具体の存置日数と強度は昭和46年建設省告示第110号が定めています。
国土交通省の「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」(以下「標仕」)も、せき板(コンクリートに直接接する板のこと)と支柱の最小存置期間を表で定めています。型枠支保工(型枠を支える支柱・はり・つなぎ・筋かい等の仮設設備のこと)には、労働安全衛生規則(以下「安衛則」)の組立図・作業主任者・打設前点検の規定がかかります。
型枠は「コンクリートの品質」と「現場の安全」を同時に握る
型枠は仮設物ですが、その出来はそのまま躯体の出来になります。通りが曲がればコンクリートも曲がり、締固め中に型枠がはらめば断面は設計と別物になります。同時に、支保工の不備は打設中の崩壊という重大災害に直結します。管理のタイミングは建込み中、打設前、打設中、解体時の4つです。
【早見表】型枠の最小存置期間(標仕 令和7年版)
せき板(基礎、梁側、柱、壁)。日数は存置期間中の平均気温による。
| セメントの種類 | 15℃以上 | 5℃以上 | 0℃以上 |
|---|---|---|---|
| 早強ポルトランド | 2日 | 3日 | 5日 |
| 普通ポルトランド、高炉A種ほか | 3日 | 5日 | 8日 |
| 高炉B種、シリカB種、フライアッシュB種 | 5日 | 7日 | 10日 |
| 中庸熱・低熱ポルトランド | 6日 | 8日 | 12日 |
強度による場合は、圧縮強度が5N/mm2以上となるまでです。
支柱(スラブ下、梁下)
| 部位・セメントの種類 | 15℃以上 | 5℃以上 | 0℃以上 |
|---|---|---|---|
| スラブ下・早強ポルトランド | 8日 | 12日 | 15日 |
| スラブ下・普通ポルトランド、高炉A種ほか | 17日 | 25日 | 28日 |
| スラブ下・中庸熱・低熱ポルトランド、B種の混合セメント | 28日 | 28日 | 28日 |
| 梁下・全てのセメント | 28日 | 28日 | 28日 |
強度による場合は、スラブ下が設計基準強度(Fc)の85%以上または12N/mm2以上、梁下がFc以上で、いずれも施工中の荷重・外力について構造計算で安全が確認されるまでです。標仕では、寒冷で強度の発現が遅れるおそれがあれば強度で存置期間を定め、試験は現場水中養生または封かん養生の供試体で行います。スラブ下・梁下のせき板は支柱を外した後に外し、支柱の盛替えは行いません(6.8.4)。民間工事は、特記仕様書で指定された基準(標仕、JASS 5等)の表で判断してください。
建込み中の管理: 精度は「後で直せない」
見るのは、位置(墨との一致)、垂直(建入れ)、高さ(天端レベル)の3つです。
- 柱・壁の型枠が墨からずれていないか。外周部のずれは外装の納まりに波及します
- 建入れは下げ振りやレーザーで確認し、締固めで動くことを見越した控えの取り方も見ます
- 梁・スラブの天端レベルと、スラブ厚さを決めるレベル管理の方法
指摘は型枠が閉じてからでは直せません。壁なら片面の建込みが終わった時点で一度見ます。設備スリーブ・箱抜き・埋込み金物の位置もこの段階で照合し、打込み時に移動しないよう堅固に取り付けさせます(標仕6.8.3(3))。打設後のスリーブ追加は、斫りと補強という最悪の手戻りです。かぶりとの関係はかぶり厚さの管理を参照してください。
支保工の管理: 計画どおりに組まれているか
型枠支保工は安衛則第237条〜第247条で定められた仮設です。押さえる条文は次のとおりです。
| 項目 | 安衛則等の要求 |
|---|---|
| 材料・構造 | 著しい損傷・変形・腐食のある材料を使わず、型枠の形状や打設方法に応じた堅固な構造とする(第237条・第239条) |
| 組立図 | 組立図を作成し、それにより組み立てる。部材の配置、接合の方法及び寸法を示す(第240条) |
| 沈下・滑動の防止 | 敷角等で沈下を防ぎ、脚部の固定・根がらみ等で滑動を防ぐ(第242条) |
| パイプサポート | 3本以上継がない。継ぐときは4本以上のボルトか専用金具。高さ3.5m超は高さ2m以内ごとに水平つなぎを2方向に設ける(第242条第7号) |
| 打設前点検 | その日の作業開始前に点検し、異状は補修。作業中止の措置をあらかじめ講じる(第244条) |
| 作業主任者 | 組立て・解体では技能講習修了者から型枠支保工の組立て等作業主任者を選任(施行令第6条第14号、第246条・第247条) |
| 計画届 | 支柱の高さ3.5m以上は工事開始の30日前までに労働基準監督署長へ届け出(安衛法第88条第1項、安衛則別表第7) |
現場では、支柱の間隔・水平つなぎが組立図どおりか、支柱が沈まない地盤・下地か、下階の支保工を残す必要がないか、荷重の大きい箇所の補強、偏った打設で荷重が片寄らないかを見ます。標仕も、上下階の支柱は可能な限り平面上の同一位置とするとしています(6.8.3(4))。組んだ日と打設日は別なので、打設前点検で外された部材や動いた箇所がないかを確認します。
打設前チェック: 閉じる前の30分が勝負
標仕でも、打込みに先立ち型枠の組立状態を確認し、監督職員に報告します(6.8.3(10))。
閉じる前: 型枠内の清掃、剥離剤の塗布、配筋・スリーブの最終確認、打継ぎ面の処理、掃除口の位置。
閉じた後: 締付け金物の緩み、開口部・端部の補強、ノロ漏れしそうな隙間、打設用の足場と手すり、ポンプ配管の取り回し。
「誰がいつやったか」を残し、前日夕方までに是正まで終える段取りが基本です。当日の中止は大きな損失になります。
打設中の監視: 見る人を決めておく
- 型枠大工を立ち会わせ、はらみ・漏れの兆候があれば即座に締め直す
- 下階に監視員を置き、支保工の沈下・傾き・異音を見る
- 一度に高く打ち上げると側圧が急増するため、1層の打設高さと打上がり速度の計画を職長・ポンプ・生コンと共有する
「異常があったら止める」判断者を決めておきます。安衛則第244条第2号も作業中止の措置をあらかじめ講じることを求めています。打設直後には天端レベル、締付け金物、支保工の最終チェックを当日中に行います。当日の段取りはコンクリート打設計画を参照してください。
解体のタイミング: 存置期間は強度で判断する
外せる時期はコンクリートの強度発現で決まります。部位、セメントの種類、気温で必要な日数・強度が異なるため、「いつも何日で外している」という慣習で判断するのは危険です。現場養生供試体の圧縮強度で判断する方法が確実で、標仕では試験結果と安全を確認する資料により監督職員の承諾を受けます(6.8.4(2)(イ))。冬期に夏と同じ日数感覚で外すと、たわみ・ひび割れにつながります。工程表には「日数で外せる日」ではなく「強度確認の試験日」を書き込みます。供試体は生コンの受入検査で解説しています。
支柱の盛替え(再支保)は、標仕では行いません。告示第110号も、大ばりの支柱の盛替えや直上階に著しく大きい積載荷重がある場合の盛替えを禁じ、盛替えは逐次行うことなどを定めています。民間工事で盛替えを計画するなら、特記と監理者の承諾を前提に施工計画に含めます。
転用計画: 品質とコストの接点
型枠は転用(同じ材料を複数回使うこと)を前提に費用が組まれますが、せき板の傷みは打放し面の品質に直結します。化粧打放しや見え掛かり部に何回目の板を使うかは、型枠業者任せにせず着工前に決めておきます。
発注段階で決めておくと現場が楽になる3項目
- 数量と単価の範囲: 型枠面積の拾い方(開口の控除)、曲面・打放しの割増、桟木・面木・目地棒の扱い
- 支保工計画の作成者と責任: 構造検討・組立図を誰が作るか。計画届が必要な高さの支保工では届出の段取りも先に決める
- 打設立会いの体制: 型枠大工の立会い人数を単価に含む形で合意する
化粧打放しがある場合の追加管理
Pコンと目地の割付図を作って設計者の承認を取る、せき板を新品または若い転用に限る、打継ぎ位置を見え掛かりから外す、補修方法(色合わせ)を事前に決める。標仕でも打放し仕上げ面(A種・B種)では型枠締付け金物にコーンを使用します(6.8.3(9))。打放しは「打ってから考える」が利かない仕上げです。
よくある失敗
- 打設当日にスリーブ漏れが見つかり、打設を止めた(前日チェックの形骸化)
- 冬期に慣習の日数でせき板を外し、ひび割れた(強度確認の省略)
- 下階の支柱を早く外し、上階打設時にスラブがたわんだ(支保工の連続性の見落とし)
いずれも「確認の省略」が原因です。確認の記録を階ごとに残せば、自社の失敗データが次の物件のチェックリストになります。
よくある質問
Q. 型枠の存置期間はどこで決まっていますか。 A. 法令では建築基準法施行令第76条と告示第110号、公共建築工事では標仕の表6.8.2(せき板)・表6.8.3(支柱)です。
Q. スラブ下の支柱はいつ外せますか。 A. 標仕では、普通ポルトランドセメントで平均気温15℃以上なら材齢17日、またはFcの85%以上(もしくは12N/mm2以上)で構造計算により安全が確認されるまでです。
まとめ
型枠工事の管理は、建込み精度・支保工・打設前チェック・打設中監視・強度による解体判断の5点に集約されます。存置期間は施行令第76条・告示第110号と標仕の表で、支保工は安衛則の組立図・作業主任者・打設前点検が骨格です。検査の実務は配筋検査のチェックポイントも参考にしてください。
出典・参考
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索)第76条: https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
- 昭和46年建設省告示第110号「現場打コンクリートの型わく及び支柱の取りはずしに関する基準」(国立国会図書館 日本法令索引): https://hourei.ndl.go.jp/simple/detail?lawId=0000061293¤t=-1
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)第237条〜第247条・別表第7: https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)第88条: https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057
- 労働安全衛生法施行令(e-Gov法令検索)第6条第14号: https://laws.e-gov.go.jp/law/347CO0000000318
- 国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」6章8節 型枠(表6.8.2・表6.8.3): https://www.mlit.go.jp/gobuild/kenchiku_hyoushi.html
※ 2026年10月1日:冒頭で型枠工事の管理の要点と存置期間の根拠を言い切る構成に見直し、支柱の盛替えの記述を公共建築工事標準仕様書と告示第110号に合わせて直し、存置期間の早見表・型枠支保工の条文の対照表・よくある質問・出典を追加しました。
いまの課題に近いものはどれですか?
選んだお悩みに最適なサービスのご案内ページへ移動します。
2営業日以内に担当者からご連絡します。無理な営業はいたしません。





