建設業務改善Navi
業務改善事例約13分で読めます

施工計画書と安全書類の下書きをAI化し、着工前の書類渋滞を解消|G建設株式会社様

施工計画書と安全書類の下書きをAI化し、着工前の書類渋滞を解消|G建設株式会社様

企業概要

項目内容
社名G建設株式会社
所在地東海地方
従業員数31名(うち施工管理7名)
主な事業事務所・工場・店舗の建築一式工事
年間売上約15億円
年間の着工物件約18件

導入前: 着工日の前に、書類の渋滞が起きる

G建設の悩みは、着工前の書類でした。施工計画書、総合仮設計画、安全衛生管理計画、各種届出の添付書類。年間18件の着工が特定の月に重なると、書類作成が渋滞し、次のような状態が常態化していました。

  • 施工計画書を書けるのは、7名の施工管理者のうち実質2名。その2名に依頼が集中する
  • 着工直前の1週間は、書類のための残業と休日出勤が発生
  • 時間切れで、前物件の計画書の日付と物件名だけ変えた「使い回し」が提出され、監理者から現場条件との不一致を指摘される
  • 若手は書類を「書けないので手伝えない」状態で、渋滞の解消に参加できない

品質と工期の入口である着工前準備が、書類のボトルネックで質を落としている。これが経営課題として認識されたきっかけは、使い回し計画書への監理者指摘が同じ四半期に2件続いたことでした。

方針: 「書ける人を増やす」をAIで実現する

検討の出発点は、書類が書ける2名の負担軽減でしたが、議論の末に目標を変えました。「2名を楽にする」ではなく「7名全員を、下書きを検証できる人にする」。このアプローチを可能にする道具として、建設業向けの書類作成AI(PattoAI)を導入しました。

取り組み1: 現場情報を入れると下書きが出る流れを作る

工事概要・工期・体制・現場条件を入力し、施工計画書と安全書類の下書きをAIに生成させる流れを整えました。ポイントは、自社の過去の優良計画書(監理者評価の高かった2物件)を参照素材とし、章立てと記載水準を自社流に寄せたことです。汎用の雛形ではなく「うちの計画書の下書き」が出る状態にするまでが、導入作業でした。

取り組み2: 「現場固有7割」の検証ルールを敷く

AIの下書きをそのまま提出することは禁止し、検証の観点を1枚のチェックシートにしました。中身は、施工計画書の7つの弱点に沿ったものです。工事概要の数字は契約図書と照合したか、仮設計画に現地調査の実測値が入っているか、安全の章はこの現場の固有リスク上位3つを扱っているか、工程表と本文は矛盾していないか。

「一般論はAIが書く。現場固有の中身は人が入れる。」この分担を明文化したことで、下書きの利用が手抜きではなく品質確保の手順になりました。

取り組み3: 若手を「下書き担当」に任命する

下書きの生成と一次検証を、経験の浅い施工管理者の担当にしました。若手は下書きを作る過程で計画書の構成と論点を学び、ベテラン2名は最終検証に専念する。書類が書けなかった若手が、書類作成プロセスの入口を担う逆転が起きました。

PattoAI

実行予算の作成や数量の拾い出しに、毎回時間を取られていませんか?

図面からの数量拾い出し・実行予算書・施工計画書の作成にかかる時間を、PattoAI で大幅に短縮できます。

効果(導入から半年・9物件)

指標導入前導入後
施工計画書の作成時間(1件)3〜5日(担当2名のみ)1〜1.5日(下書き半日+検証)
書類を作成・検証できる人数実質2名7名(最終検証は2名)
着工前の書類起因の残業繁忙月に常態化ほぼ解消
監理者からの差し戻し四半期に1〜2件半年で0件

意外な効果として、監理者からの評価が上がりました。使い回し時代より、現場固有の記載(実測値・固有リスク)が増えたためです。「AIを使ったら品質が下がる」という導入前の社内の懸念は、逆の結果になりました。下書きに時間を取られない分、人の時間が現場固有の中身に向かったからです。

導入判断の裏側: 書類時間の実測から始めた

導入の検討は、感覚論ではなく時間の実測から始まりました。直近1年の着工物件について、書類作成にかかった時間を担当2名の記憶とカレンダーから復元したところ、施工計画書・安全書類関係だけで年間およそ600時間。2名の年間労働時間の約2割が、着工前書類に費やされていました。

この数字が出た時点で、経営会議の論点は「導入するか」から「なぜ今までこの状態を放置したか」に変わったといいます。ツールの利用料は、600時間の人件費換算に対して十分に小さく、しかも渋滞の解消による着工品質の改善(使い回しの根絶)は金額換算の外にある効果でした。

あわせて、導入前に「AIに任せない書類」も決めています。契約関係の文書、構造・法規の判断を含む記述、発注者との合意事項の記録。下書きAIの守備範囲を最初に線引きしたことが、社内の不安を抑え、検証ルールの説得力を高めました。

今後の展開

G建設は現在、対象書類の拡張を段階的に進めています。次の候補は、各種届出の添付書類と、月次の安全衛生協議会資料。いずれも「定型の骨格+現場固有の情報」という構造が施工計画書と同じで、下書きと検証の分担がそのまま使える領域です。

一方で、拡張を急がない方針も明確にしています。1つの書類でルールが定着してから次へ。「ツールの機能があるから使う」のではなく「渋滞している書類から順に解消する」。この順序を守ることが、半年間の定着の最大の教訓だったからです。

つまずきと修正

  • 初期の下書きが「立派すぎた」: 導入直後、AIの下書きが網羅的すぎて、検証の負担が大きいという声が出ました。章立てを自社の標準に絞り込み、「書かない章」を決めることで解決しました。書類は厚さではなく、読まれることが目的だという原則を再確認する機会になったといいます
  • 入力情報の集め方が属人化しかけた: 下書きの質は入力(現場条件)の質で決まります。現地調査の記録様式を着工前準備の4方面リストと揃え、誰が調査しても同じ情報が集まる形にしました

波及効果: 書類の「質の物差し」が社内に生まれた

半年の運用で、当初の狙いになかった変化も起きています。検証チェックシート(7つの弱点ベース)を全員が使うようになった結果、「良い施工計画書とは何か」の基準が社内で共通言語になりました。以前は書ける2名の暗黙知だった品質観が、若手の口から「この仮設計画、現地の数字が入っていないですね」という指摘として出てくる。書類AIの導入が、結果として書類教育の教材整備を兼ねていた形です。

また、下書き生成のために現場情報を構造化して集める習慣は、着工前準備全体の底上げにつながりました。入力項目リストがそのまま調査チェックリストとして機能し、「AIのために集めた情報」が計画書以外(工程表・予算・近隣説明資料)にも使い回されています。

担当者の声

工事部の課長(書類が書ける2名の1人)のコメントです。「正直、最初は自分の仕事を取られる感覚がありました。実際に始まってみると、私の仕事は『書く』から『確かめる・教える』に変わっただけで、むしろ本来やるべき仕事になった。若手が下書きを持って質問に来るようになったのが、一番の変化だと思います」

まとめ

G建設の事例は、書類AIの価値が「速く書ける」ことよりも「書ける人が増え、人の時間が現場固有の中身に向かう」ことにあると示しています。計画書の品質論は施工計画書の作り方、書類業務へのAIの組み込み方は実行予算の作成をAIで効率化する手順もあわせてご覧ください。

お悩み別 おすすめサービス

いまの課題に近いものはどれですか?

選んだお悩みに最適なサービスのご案内ページへ移動します。

無料デモで確認する(オンライン30分)

2営業日以内に担当者からご連絡します。無理な営業はいたしません。

あわせて読みたい関連記事