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工事写真の整理が月22時間から4時間に|電子黒板で「撮ってから整理」をやめた現場改善|W工務店様

工事写真の整理が月22時間から4時間に|電子黒板で「撮ってから整理」をやめた現場改善|W工務店様

企業概要

項目内容
社名W工務店
所在地中部地方
従業員数15名(うち施工管理4名)
主な事業非住宅建築(店舗・倉庫・福祉施設)の元請工事、住宅リフォーム
年間売上約6億円

改善前のある一日

W工務店の施工管理担当者の、竣工1か月前の典型的な夜はこうでした。

現場から18時に戻り、その日撮った200枚の写真をパソコンに取り込む。ファイル名を「20260215_2階_配筋」のように手で直し、フォルダに振り分ける。数日サボると千枚単位で溜まり、どの写真がどの部屋か思い出せない。竣工が近づくと、監理者に提出する写真台帳づくりのために週末出勤。黒板は手書きで、書き換えのたびに現場を往復する。

4名の施工管理者の写真関連作業を集計したところ、ひとりあたり月20時間強、社全体で月80時間超が「撮影後の整理」に費やされていました。撮影そのものではなく、撮影の後工程が負担の主因だと数字で確かめられたことが、その後の対策の方向を決めました。

課題の整理: 問題は「整理」ではなく「撮り方」だった

社内で検討した結果、残業の直接原因である「整理」を頑張る改善(テンプレート整備・ルール強化)では解決しないという結論になりました。撮影の時点で情報が付いていないから、後から人間が思い出して分類する羽目になる。直すべきは撮り方でした。

そこで、黒板作成と分類を撮影と同時に済ませられる電子黒板アプリ(CloudCamera)への切り替えを決めました。

取り組みの内容

(1) 1現場目で撮影設定を作り込む

最初の対象は着工直後の倉庫新築現場。施工管理の責任者が、施工段階×場所×項目の撮影設定を最初に作り込みました。あわせて、図面から「隠蔽部の撮影リスト」(基礎配筋・埋設配管・防水下地・天井内など)を洗い出し、撮影計画としてアプリの設定に反映しました。

(2) 現場単位で全員切り替え

「若手だけ電子黒板、ベテランは手書き」の併用はしないと決め、対象現場では職人への周知を含めて全員をアプリ撮影に切り替えました。写真の保管場所が一本化されたことで、「あの写真は誰のスマホか」問題が消えました。

(3) 監理者への事前説明

着工時の打ち合わせで、電子黒板での撮影と提出形式を監理者に説明し、了承を取りました。撮影日時が自動記録されるため記録の信頼性はむしろ高い、という説明で異論は出ませんでした。

(4) 2現場目以降は設定を複製

1現場目で作った撮影設定・フォルダ構成を、次の現場に複製して横展開。設定づくりの手間は初回だけで、2現場目からは着工日から使える状態になりました。

CloudCamera

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導入判断の裏側: 費用対効果の試算

導入を決める前に、W工務店では簡単な試算を行っています。施工管理4名×月22時間の写真関連作業は、月88時間。時給換算すると、アプリの利用料を大きく上回る人件費が「整理」に消えている計算になりました。さらに、竣工前の週末出勤は代休で工程を圧迫し、撮り直しの発生は品質記録の欠落リスクでもある。金額の比較に、この2つの見えないコストを加えた時点で、判断は明確だったといいます。

経営者が強調するのは、「削減時間を人件費に換算して終わりにしない」ことです。浮いた時間が何に置き換わるか(検査・巡回・若手指導)まで想定して初めて、投資の意味が決まります。W工務店の場合、置き換え先を「現場に出る時間」と最初に決めていたことが、後の効果測定をぶれさせませんでした。

撮影計画リストに入れた「隠蔽部」の中身

1現場目で作った撮影リストは、次の考え方で構成しました。あとで見えなくなるもの、検査の証拠になるもの、引渡し後に問い合わせが来そうなものの3分類です。

  • 見えなくなるもの: 基礎・各階の配筋、埋設配管の経路、防水の下地と立ち上がり、断熱の施工状況、天井内・壁内の下地補強
  • 検査の証拠: 配筋検査の測定値(スケールを当てた寄り)、生コン受入時の伝票と試験、社内検査の指摘と是正後
  • 問い合わせ対策: 設備機器の品番が読める写真、下地補強の位置(後日テナントが棚や機器を付ける場所)

リストは工種別ではなく「時期別」(この工程が始まる前に撮る)に並べ替えて運用しました。撮影のトリガーが工程と結びつくため、現場では「次の作業の前に撮るものは何か」だけを見ればよくなります。

定量効果(導入6か月後)

指標導入前導入後
写真整理の時間(1人あたり月)約22時間約4時間
竣工前の写真対応の週末出勤ほぼ毎物件で発生ゼロ
黒板の準備・書き換え時間撮影のたびに発生ほぼゼロ
撮り漏れによる撮り直し物件ごとに数回6か月で1回

整理時間の削減分は、そのまま現場巡回と検査の時間に振り替わりました。「写真のための残業」が消えたことは、若手の定着の面でも効いていると経営者は評価しています。

思わぬ副次効果

導入の狙いは残業削減でしたが、運用してみると別の効果が現れました。

  • 事務所からの現場把握: クラウド同期により、経営者と工事部長が事務所から各現場の当日写真を見られるようになり、進捗確認の電話が減った
  • 是正指示のスピードアップ: 指摘箇所の写真共有と是正後の写真報告がアプリ内で完結し、確認のためだけの現場訪問が減った
  • 過去写真の検索: 竣工後の問い合わせ(テナント入居工事の際の下地位置の確認)に、写真を数分で提示できた

職人への浸透: 最初の1週間がすべてだった

切り替え現場での定着施策は、凝ったものではありません。効いたのは次の3つでした。

  • 朝礼での実演: 初日の朝礼で、職長の前で実際に1枚撮って見せた。口頭説明10分より、30秒の実演の方が伝わったといいます
  • 最初の1週間は「隣で撮る」: 施工管理者が各職種の撮影に付き添い、設定の選び方をその場で教えた。質問が出るのはほぼこの期間だけで、2週目からは自走した
  • できない人を放置しない: 操作に不安のある年配の職人には、撮影を職長経由に集約する運用も許容した。全員が同じ習熟度である必要はなく、現場として写真が一元化されていればよい、と割り切った

やらなかったことも記録しておきます。マニュアルの配布(読まれなかった)、全社一斉導入(現場単位の方が確実だった)。小さく始めて現場ごとに定着させる方式が、15名規模の会社には合っていました。

定着までのつまずき

順風満帆だったわけではありません。導入初月には、ベテラン1名が従来の手書き黒板に戻ろうとする場面がありました。理由を聞くと「スマホの文字入力が遅い」。対策として、よく使う黒板テンプレートを事前登録し、入力をほぼ選択式にしたところ、以後は問題なく定着しました。道具への抵抗は「操作の設計」で解けることが多い、というのが担当者の学びです。

今後の展望

W工務店は現在、写真の仕組みを2方向に広げようとしています。ひとつは是正管理への本格活用で、社内検査の指摘写真と是正後写真の対管理を、竣工前のダメ直し工程の標準にすること。もうひとつは、監理者・発注者への共有の効率化で、月次報告に使う写真の抽出をフォルダ分類から半自動化することです。「撮る」が整った次は「使う」を磨く段階、というのが担当者の現在地です。

まとめ

W工務店の事例の本質は、整理を効率化したのではなく、整理という工程自体をなくしたことです。撮影計画と電子黒板の運用の考え方は建築工事の工事写真の撮り方で、アプリの機能はCloudCameraの紹介記事で詳しく解説しています。

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