建設業務改善Navi
施工管理・技術約16分で読めます

生コンの受入検査とは|建築工事の試験項目と判定基準の早見表

公開日:最終更新日:

編集・発行:

生コンの受入検査とは|建築工事の試験項目と判定基準の早見表

生コンの受入検査とは、工場から届いたレディーミクストコンクリート(生コン)を、荷卸し地点で打ち込む前に確かめる検査のことです。確認するのは、各車の納入書が発注条件どおりか、スランプ・空気量・塩化物量・コンクリート温度の試験結果、そして圧縮強度試験用の供試体の採取です。

国土交通省の「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」(以下「標仕」)では、荷卸し地点の空気量は4.5%で許容差±1.5%、塩化物量は塩化物イオン量で0.30kg/m3以下、強度試験は打込み日ごと・工区ごと・150m3以下にほぼ均等に分割した単位ごとに行うと定めています。以下の数値は標仕(令和7年版)のものです。民間工事では特記仕様書で指定された仕様(JASS5等)が優先されるため、配合計画書と特記仕様書で必ず確認してください。

【早見表】受入検査の項目と判定基準

検査項目判定基準(標仕)試験の時期・回数(標仕)
納入書発注した条件に適合していること全車
スランプ特記がなければ、柱・梁・スラブ・壁は18cm、基礎・基礎梁・土間スラブは15cmまたは18cm。許容差は8cm以上18cm以下で±2.5cm、21cmで±1.5cm(呼び強度27以上で高性能AE減水剤使用時は±2cm)強度試験の供試体を作るとき。打込み中に品質変化が見られたとき
空気量4.5%、許容差±1.5%同上
コンクリート温度暑中コンクリートは荷卸し時35℃以下(困難な場合は監督職員と協議)同上
塩化物量塩化物イオン量で0.30kg/m3以下コンクリートの種類ごとに1日1回以上。打込み当初と、計画打込み量が150m3を超える日は150m3以下にほぼ均等に分割した単位ごとに1回以上
圧縮強度(供試体)調合管理強度の判定は標仕6.9.4、構造体コンクリート強度の判定は6.9.5による打込み日ごと、打込み工区ごと、かつ150m3以下にほぼ均等に分割した単位ごとに1回(1回3個)
練混ぜから打込み終了までの時間外気温25℃以下は120分以内、25℃を超える場合は90分以内納入書の出荷時刻で全車確認

試料は工事現場の荷卸し地点で、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の試料採取方法により採ります(6.9.2)。スランプ・空気量が許容差を超えたときの調合の調整でも、水セメント比は変えてはならないとされています(6.5.2、6.5.3)。

【計算例】1日400m3打つ日の試験回数

打込み工区1つ、生コン工場1つで、1日に400m3打つ日に標仕の頻度を当てはめます。

  1. 150m3以下にほぼ均等に分割: 400÷150=2.67なので3分割(約133m3ずつ)
  2. 調合管理強度の判定用: 3回。1回ごとに1台の運搬車の試料で3個作るので計9個
  3. 構造体コンクリート強度の判定用: 3回。1回ごとに間隔をあけた3台から1個ずつ採るので計9個
  4. 塩化物量: 打込み当初を含め3回以上
  5. スランプ・空気量・温度: 供試体を作るたびに実施し、品質変化が見えたら追加

型枠取外し時期の決定用は「必要に応じて定める」扱いなので別に数を決めます。工区や工場が分かれる日は、その単位ごとに数え直してください。

前日まで: 検査は発注の瞬間から始まっている

  • 配合計画書の照合: 呼び強度・スランプ・粗骨材の最大寸法・セメント種類が設計図書の指定と一致しているかを、注文前に確認します
  • 試験の段取り: 試験を誰が行うか(工場の試験員か第三者試験機関か)と、何m3目・何台目で試験するかを一覧表にし、監理者と合意しておきます
  • 当日の体制表: 打設数量と台数、荷卸し場所、試験スペース(平らで水が使える場所)、立会者を決めます。ポンプ車の脇の斜面で試験はできません

工場選定の段階では、JIS認証と当該配合の製造実績、現場までの運搬時間と渋滞リスク、出荷能力を確認します。大規模打設で応援工場が入る場合、標仕では同一の打込み区画に2つ以上の工場のコンクリートを打ち込まないとしているため(6.6.3)、どの区画をどちらの工場で打つかを先に決めます。

ツナギー

案件の状況、担当者に聞かないと分からなくなっていませんか?

案件情報・進捗・書類をクラウドで一元管理。ツナギー の活用例をまとめました。

荷卸し時: 納入書は毎台チェックする

標仕も、発注条件への適合を各運搬車の納入書で確認するとしています(6.5.1)。見るのは次の項目です。

  • 呼び強度・スランプ・骨材寸法・セメント種類が注文どおりか
  • 出荷時刻。練混ぜから打込み終了までは、外気温25℃以下で120分以内、25℃超で90分以内です(6.6.2)。荷卸し後の待ちや圧送時間も含めて間に合うかを判断します。工場から荷卸しまでの運搬時間にはJIS A 5308の定めもあるため、あわせて確認してください
  • 納入量と累計。打設数量の管理と、何台目で試験かの把握に使います

途中から別工場の応援車が混ざる、別現場の車と取り違える、といった事故は実際に起きています。午後の15台目こそ誰も伝票を見ていない、というのが現実的なリスクです。全車の伝票確認を荷卸し誘導の担当者の仕事として割り当て、長丁場の日は交代制にします。なお、運搬中や圧送中に水を加えることは禁止です(6.4.4、6.6.1)。

試験: 立ち会って「見る」ことに意味がある

  • 試料が荷卸し地点で、規定の採取方法どおりに採られているか
  • スランプ試験の手順が雑になっていないか(突き方・持ち上げ方で結果は変わります)
  • 合格でも、許容差の端ぎりぎりが続くなら工場に状況を確認する
  • 打込み当初と打込み中、ワーカビリティー(打ち込みやすさ)が安定しているかを目視でも確認する(6.5.1)
  • 測定値が読める寄りの写真を、工事写真の基本どおり遠景とセットで残す

供試体: 採るだけでなく「その後」を管理する

養生方法は試験の目的で変わります。標仕では、調合管理強度の判定は標準養生(20±2℃の水中養生)で材齢28日、構造体コンクリート強度の判定は工事現場での水中養生・封かん養生または標準養生、型枠取外し時期の決定用は工事現場での水中養生または封かん養生です(表6.9.2)。現場養生の供試体は直射日光の当たらない屋外に置きます。誰がいつ試験機関へ運び、結果がいつ届くかまで段取りします。結果は型枠の解体判断に直結します。

不合格が出たとき: その場の対応を決めておく

  1. 不合格の車は打ち込まず返送する。標仕も、異状を認めたコンクリートは使用しないとしています
  2. 再試験のルールは特記仕様書・監理者との取り決めに従う
  3. 塩化物量が0.30kg/m3を超えた場合、標仕では次の運搬車から連続して試験し、0.30kg/m3以下を確認してから使用します。連続10台が基準内なら元の頻度に戻せます(6.5.4)
  4. 不合格が続く場合は打設を中断し、工場に原因を確認する
  5. 経緯(車番・時刻・測定値・処置)を記録し、監理者へ報告する

「1台くらい」という妥協が、後日のコア抜き調査という何倍もの代償になります。返す判断をした担当者を責めない空気を会社としてつくり、返送の判断基準と費用負担は初回打設の前に工場と文書で確認しておきます。

記録の整理: 試験成績を「工事の資産」にする

打設日ごとに、納入書・試験記録・供試体の管理表・打設部位をひとまとめにし、「この柱はどの日のコンクリートか」を追える状態にします。強度試験の成績書は届いたらすぐ判定基準に照らして監理者へ報告し、全打設分を一覧表にして竣工図書に含めます。測定値の傾向を工場との定例で共有すると、供給品質の改善にもつながります。

よくある質問

Q. 受入検査の頻度はどのくらいですか。 A. 標仕では、強度試験は打込み日ごと・打込み工区ごと・150m3以下にほぼ均等に分割した単位ごとに1回です。スランプ・空気量・温度はその供試体を作るときに行い、塩化物量は1日1回以上(打込み当初と150m3を超える日は分割単位ごと)です。民間工事は特記仕様書で確認してください。

Q. 空気量の基準はいくつですか。 A. 標仕では荷卸し地点で4.5%、許容差は±1.5%です。つまり3.0%から6.0%の範囲が合格です。

まとめ

生コンの受入検査は、前日までの配合照合と段取り、全車の伝票チェック、規定頻度の試験立会い、供試体のその後の管理、不合格時の原則の5点で構成されます。数値は規格・標仕・特記仕様書に任せ、現場は「決めた手順を全台に適用する」ことに集中する。打設当日の全体の段取りはコンクリート打設計画とあわせてご覧ください。

出典・参考

  • 国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」6章 コンクリート工事(6.2.4 スランプ、6.3 調合、6.4.4 運搬、6.5 品質管理、6.6.2 練混ぜから打込み終了までの時間、6.6.3 打込み、6.9 試験、6.12 暑中コンクリート): https://www.mlit.go.jp/gobuild/kenchiku_hyoushi.html
  • JIS A 5308(レディーミクストコンクリート): 日本産業標準調査会(JISC)で閲覧できます https://www.jisc.go.jp/
  • 日本建築学会「JASS 5 鉄筋コンクリート工事」(学会の有料資料。民間工事で特記仕様書に指定されている場合は該当版を確認)

※ 2026年9月30日:冒頭で受入検査の意味と主な判定基準を言い切る構成に見直し、時間の限度の記述を公共建築工事標準仕様書に合わせて直し、判定基準の早見表・試験回数の計算例・よくある質問・出典を追加しました。

お悩み別 おすすめサービス

いまの課題に近いものはどれですか?

選んだお悩みに最適なサービスのご案内ページへ移動します。

無料デモで確認する(オンライン30分)

2営業日以内に担当者からご連絡します。無理な営業はいたしません。

あわせて読みたい関連記事